「小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て」高橋孝雄 著 とは
あらすじ
持って生まれた才能は、いつか必ず花開く。
どの子どもも、親から受け継いだ、素晴らしい素質を持っている。
親はあたたかく見守ればいいだけ
小児科医36年間の経験に基づく納得の子育て論、ついに登場
子育ての悩み、全部解消!
著者 高橋孝雄先生について
●高橋孝雄(たかはし・たかお)
慶應義塾大学医学部 小児科主任教授。医学博士。
専門は小児科一般と小児神経。 日本小児科学会会長。
●1957年、8月生まれ。1982年慶応義塾大学医学部卒業。
1988年から米国マサチューセッツ総合病院小児神経科に勤務、ハーバード大学医学部の神経学講師も務める。
●1994年帰国し、慶應義塾大学小児科で、医師、教授として活躍している。
趣味はランニング。マラソンのベスト記録は2016年の東京マラソンで3時間7分。
別名“日本一足の速い小児科教授”。
書評
隠れた動機をよく考えることが重要
「子どもの個性、能力は遺伝子で受け継がれている」という免罪符をもらった
●娘の早期教育について悩んでいたときに出会った本だった。
当時の私は0歳から通える幼児教室の体験に行き、ネットでレビューを眺めて日夜比較検討に勤しんでいた。どの教室が続けられそうか、娘の成長に役立ちそうか・費用対効果が良いか
比較表を作って悩んでいた。
●偶然、登録しているMIKIHOUSEのメルマガを読んだ。
そこで悩み相談コーナーを持っていた小児科医の言葉が目に止まった。
「子どもの個性を信じて成長を見守ることが重要。才能や能力は遺伝子で受け継がれている」
●焦っていた私は、誰かに
「0歳から頑張らせなくていいんだよ」
「お母さんもそんなにシャカリキになって早期教育しなくていいんだよ」
「そんなにお金をかけなくていいんだよ」
と言われたくて高橋先生の著書に興味を持ち、購入した
頑張らなくて良いよの免罪符が欲しかったことが本著を手にとったきっかけだ
・子どもの能力、才能、性格は両親から受け継いだ遺伝子によって受け継がれている。
・他の子や標準値と比べて一喜一憂せず、子どもの個性を信じて成長を見守ることが重要。
・「トンビがタカを生む」はありえないので、平凡な運動神経の親からオリンピック選手は生まれない。
・性別に関する意識をコントロールしているのも遺伝子であるので、ジェンダーアイデンティティも遺伝子で決まる(遺伝するかどうかは言及はない)ので躾や育て方で変わるものではない。
・アルコールへの耐性も遺伝で決まる。
・運動の得意不得意も遺伝で決まる。
・アウトドア/インドア志向など「嗜好」も遺伝の影響が大きい。
子供の成長へのサポートを「諦める」ということじゃない
だからといって、子ども成長は遺伝子で決まるなら、放っておけばいいのね!というわけではない。では何をおさえてサポートすればよいのか?その勘所について、以下のように書いている。
・しかし、遺伝子の「余白」わずかなゆとりが個性として存在するため、生活習慣や教育が健康や考え方や行動パターンに影響を与える。また、努力や工夫で克服できる余地がある。重要なことは運命として受け入れて諦めるのではなく、また苦手を克服することを目的にするのではなく、克服することで得意分野をさらに伸ばすこと。
つまり、得意分野を一緒に探すためにいろんな体験・経験をさずけ、
見つかった得意分野を大事に伸ばすことが大切ということだ
早期教育=詰め込みではなく、得意分野を探す体験を増やすこと
0歳児のときから教室で椅子に座らせて、ドットカードを見たり動物や花や季節の名前を覚え、ひらがなを読めるようになる・・・
そして、1〜2歳になれば、
・他の子どもより早く言葉を話せる
・他の子どもよりお行儀がよくルールや規律を理解して行動できる
・自分の気持ちを他者にうまく伝えられる
こんな理想を求めていた私は、早期教育の目的が「他人より優れていると親が感じたい」という点であること=親の見栄や優越感を満たすことであると感じた
本当に子供のためを思って早期教育に投資するならば、
子どもが生きていく上で必要な力とは何か?という点に着目し、
その力を得るための教育をする手段を検討するべきだ。
仮に多くの幼児教室が謳っているように
IQを高め、受験に合格し有名幼稚園・有名小学校に入ることが生きていく上で必要な力を伸ばす教育環境として最適だとしても、0歳児時点から投資して訓練すること、費用を割くことが優先順位として上位ではないと判断した。
※有名幼稚園、小学校に入学することが生きていく上で必須条件となるような家庭環境に生まれた子どもは別であると感じる。そういう家に生まれた子どもも、親も大変だなと感じる。。。
・早期教育①
胎教に医学的根拠はない。意味があるとするならば、お腹に話しかけることで両親の赤ちゃんへの愛情が形成されること。
・早期教育②
子どもの能力、才能、性格は環境要因より遺伝子で左右されるため、早期教育は「人より早くできるようになる」けど、それ以上でもない。
・ただし子どもが興味を持てるようなら、どんどんいろんなことをやらせてみて得意なものを探すのが良い。
・先取りの早期教育をするくらいなら、視て聞いて、触れて、たくさん実体験を積ませてあげることが重要。
早期教育は何のため?誰のため?改めて目的を確認することが重要
早期教育に自分は何を期待しているのか?
それは子ども視点の期待なのか?自分(親)の自尊心を満たすためのものではないか?
このような問いを自分にすることができた
私の場合は
・近所のママ友の子どもや保育園の子どもより優秀であってほしい
・親族や保育園の先生などの周囲の人から「賢い子だ」と思われたい
・ひとりっ子なんだから、この子に投資しないと代わりがいない
・将来、自分自身でお金を稼いで一人でも生きていけるようになってほしい
・夫婦にとって唯一の子どもなので、失敗してほしくない(失敗とはなにか=自分で自分の食い扶持を稼げない人間になる)
こういった動機が高まり焦りとなって早期教育に興味を持った。
・理想の母を追い求める必要はない。子どもが好きなのはいまのお母さん。
ミルクより母乳、手作りの離乳食などに囚われない。頭の中にある理想の母親像と自分を比べて落ち込むより肩の力を抜いて子どもにたくさん関わる。
・子育てに目標到達点はない。高い理想を掲げて子どもを叱咤激励するのは「あとで後悔したくない病」で無意味なので、今子供と向き合い、その時間を大切にする。
・親は自分が果たせなかった夢やできなかったことを子どもに託さない。今からでも自分で目指す。
自分の中にある、言葉にできていない早期教育に求める隠れた深い動機を、
言い当てられた気がした
私は見栄を張って優越感を感じたいだけでなく
「ちゃんと子育てできているね」と周囲に認めてもらいたいのだ。
結局自分視点であることに気付かされて、恥ずかしかった。
子育てで大切なこと3つ
●子育てにおいて最も大切なこと
・共感力、意思決定力、自己肯定感
この3つを身につけられるようにするのが親の務めであると高橋先生は書いている
この3つの力を培いながら、得意分野を探すための体験をたくさん授けること。
その手段として早期教育が有効な手段であるなら、費用対効果がある。
結局我が家は0歳児での幼児教室は見送り
我が家の早期教育への期待は親の見栄、自尊心を満たすことが目的であると判明したため、見送った
当たり前である
自身が気持ちよくなるために子どもに努力しろと迫るなんぞ、虐待だ
今後、早期教育(就学前教育・習い事)をする場合は
・子ども自身がやってみたいと言ったこと(言わずとも興味がありそうと判断できるもの)
・親も負担なく続けさせられるもの(費用・時間)
・一緒に楽しめるもの
を条件に可否を判断したい
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