【書評】我が家の早期教育の目的と条件!「『学力』の経済学」

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タヌキ

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「学力」の経済学 中室牧子 著 とは

この本を読んでわかったこと=
「いつの時期に・どんな力をつけること」が教育投資する上で効果的なのか
また、その科学的根拠となる社会実験について

あらすじ

ゲームは子どもに悪影響?教育にはいつ投資すべき?ご褒美で釣るのっていけない?
思い込みで語られてきた教育に、科学的根拠が決着をつける!

著者について

中室 牧子
●1998年慶應義塾大学卒業。米ニューヨーク市のコロンビア大学で博士号を取得(Ph.D)。
●日本銀行や世界銀行での実務経験を経て2013年から慶應義塾大学総合政策学部准教授に就任し、現在に至る。専門は教育を経済学的な手法で分析する「教育経済学」。

書評

この本を読んだ動機

高橋孝雄先生の「小児科医のぼくが伝える最高の子育て」を読んで、「0歳児からの早期教育は必要ない」と判断した我が家だった。

【書評】私が0歳児早期教育に求めていた隠れた動機「小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て」
「小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て」高橋孝雄 著 とはあらすじ持って生まれた才能は、いつか必ず花開く。どの子どもも、親から受け継いだ、素晴らしい素質を持っている。親はあたたかく見守ればいいだけ小児科医36年間の経験に基...

では、いつの時期がベストなのか?
そして、本人の得意分野を見つけるという目的以外に、
将来食い扶持に困らないためにはどんな力をつけると良いのか?という疑問は残ったままだった

身につけておくと将来生きていくのに困らない力や、その力をつける上で最適な時期を知りたい!!

教育投資は未就学児期が効果的

著者の中室先生によると教育投資の最適時期は未就学児期(小学校入学以前)だそうだ
また、その根拠となる社会実験についても紹介している

・教育にはいつ投資すべきか
教育の収益率が一番高いのは就学前教育(幼児教育)であり、人的資本の投資にはしつけなどの人格形成や、体力や健康への支出を含む

・根拠はシカゴ大ヘックマン教授のミシガン州のペリー幼稚園実験
貧困家庭にランダムに質の良い就学前教育、家庭の資源不足の補填を行った。40年の追跡調査の結果、6歳時点でのIQ、19歳の高校卒業率、27歳での持ち家率、40歳での所得、逮捕率に差。教育の内部収益率は7〜10%であった。
 

※教育の内部収益率とは教育投資により得られる運用利率を示す値で、簡単に言えば教育にかけたお金に対して、どれくらい就業期間中に教育受給者(=子ども)に収益(給料などの収入)が返ってくるか、その割合のこと。

ちなみに、日本における大学教育の内部収益率は直近の値である 2009年で7.6%である

つまり、幼児教育は大卒と同程度の収益率が見込める?

・へッグマンの社会実験によると、就学前に実施する教育の内部収益率は7〜10%
・大学教育の内部収益率は直近(といっても10年前)で7.6%

となると、幼児教育は大卒資格を得ることと同等の収益率が見込めるということなのだろうか

ただし、幼児教育=お勉強ではない

へッグマンの実験では「人的資本の投資にはしつけなどの人格形成や、体力や健康への支出を含む」とのことだ

つまり、お教室に入れてお勉強をするのではなく、
きちんと3食食べて、よく寝て、適度に運動する。清潔な環境で過ごして、健康診断を受けて、予防接種を受ける。たくさん親からの愛情を受ける。という意味合いである。

では、そういった一見当たり前のことを教育投資と呼んでいるのか?
身につけると投資効果が高い力=健康で愛情たっぷりに育つことなのか?

重要な非認知能力は「自制心」と「やり抜く力」

幼児教育で身につける力は非認知能力であり、特に「自制心」と「やり抜く力」である

●重要なのは非認知能力
へッグマンの実験において、処置群と非処置群のIQの差は8歳位でなくなるが、非認知能力の差は継続して将来の年収学歴就業形態に大きく影響することがわかった。

●特に重要な非認知能力は「自制心」と「やり抜く力」
これらは学歴、年収、雇用などの面で子どもの人生の成功に長期に渡る因果関係を持ち、教育やトレーニングによって鍛えて伸ばせるもの
やり抜く力とは、非常に遠い先にあるゴールに向けて興味を失わず努力し続けることができる気質

具体的にどんな方法で、身につけるの?

自制心を培うためには、継続と反復、細かく計画を立てて記録して達成度を自分で管理すること。

やり抜く力を培うためには、自分の努力によって自分を伸ばすことができると信じられること。親や教師から継続的にそのようなメッセージを与えられること。

なるほどつまり上記の行動ができるのであれば、それが幼児教室でも、音楽教室でも、公文でも、スイミングでも構わないということだ。

そして、高橋孝雄先生が著書で言っていたように「その子の得意分野を探す」ことも並行して行うという意味では、「何をするか」よりも「何が合うか、何が得意か」を見つけるために、色々探す、試してみることが重要なのだと理解した

子どもが興味を持てること、親も楽しめることであれば、習い事の種類はなんでもいいのだ。重要なことは色々試して得意をみつけること、そして取り組みのなかで自制心とやり抜く力を育てることなんだ!!

【おまけ】教育政策にはエビデンスが重要だが、日本では重視されていない

日本の教育政策にはエビデンスが薄いものが多い上に第三者機関による評価がないと著者は問題提起している。
エビデンスとなる統計調査も少なく、また政府によって開示されているものが少ない。

たしかに

教育は一億総評論家状態で、エビデンスのない個人の体験を真似しても同じように成功する保証はない。例えば東大の親の年収は平均1000万円というように、個人の工夫ではなく教育資金が合格の要因かもしれない。

※ちなみに、エビデンスには信頼度を判断する基準として階層があり、最も階層が高いエビデンスは、ランダム化比較試験。専門家や研究者の意見や考えは最も階層が低い。

まとめ

今回の本を読んで学んだことは以下である

●子どもが興味を持てること、親も楽しめることであれば、習い事の種類はなんでも良い
●ポイントは色々試して得意をみつけること、そして取り組みのなかで自制心とやり抜く力を育てること
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